佐世保(長崎県)
専門学校の卒業を前にして、仲の良かった私を含めた仲間4人は卒業旅行を計画しました。
2004年の3月初旬のことだったと記憶しています。
何処へ行こうか、旅行雑誌等を見ながら皆であれこれ相談していましたが、結局3泊4日での佐世保への旅が決まりました。
当初、私は台湾に行こうと提案していましたが、友人の一人がパスポートを持っていないことと、そんなに予算を割くことができないという理由から長崎行きが決定したのです。
長崎は国内であるにも関わらず、何処か海外の雰囲気も漂っているらしいからというのも決め手の一つになりました。
私の実家は熊本にあり、34歳になった現在も地元に帰ってフリーランスで仕事をしていますが、旅をしてみて、佐世保は近場であるにも関わらず、こんなに素晴らしい場所があったということに驚きました。
佐世保駅に着いてレンタカーを借りた私達は、市内の様々な場所を回ったのですが、どこかノスタルジックな気持ちにさせてくれることが多かったように思います。
美しい海や山に囲まれたロケーションがそう感じさせてくれるのでしょうか。
佐世保といったら佐世保バーガーだろうということで、雑誌に載っていた有名店はなるべく回ることにしました。
もちろん日に何個も食べられないので、4人で2個とかそんな感じで自分たちの胃袋と相談しながらの食べ歩きでした。
中でも印象的なのは「ヒカリ」というお店です。
随分古くからの老舗のようですが、とても大きなバーガーに驚いた記憶があります。
私は仲間内からもからかわれたりするくらい口が大きいのですが、そんな私でも、縦からも横からもとてもかぶりつけないくらいの大きさでした。
もちろん味の方も美味しくて満足です。
若い方や、大食漢の方にはぴったりですね。
基本的にどのお店もボリューミーで、佐世保バーガーを知った後では一般のハンバーガーショップのバーガーではちょっと物足りなくなります。
また、そのうちに食べに行ってみたいですね。
佐世保といえば、ハウステンボスのイメージが強いと思いますが、個人的には九十九島をおすすめします。
いくつかの展望台があるのですが、少し早起きしてホテルを出発した私達は、弓張岳展望台というところへ向かいました。
そこで日の出を見たのですが、みんなあまりの美しさに無言になっていました。
九十九島の海に、照り映える太陽の光がやさしく降り注ぎ、その光の中を漁師の小舟が何艘か浮かんでいた情景を、時を経た今でもはっきりと思い描くことができます。
正直、はじめは希望の旅行先でなかったことと、地元からそんなに離れていないということもあってあまり期待していなかったのですが、本当に行って良かったと思っています。
学生の貧乏旅行ですが、私にとって、そしておそらく友人たちにとってもかけがえのない思い出です。
今となっては皆、全国各地に散らばってしまいましたし、それぞれが忙しく社会人をやっています。
もう一緒に旅をしたり、バカなことを言い合ったりして笑い転げることはないのだろうなと思うと寂しい気もしますが、青春時代の思い出の一部分を皆で共有できたことは私の人生において幸せです。